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東京国際空港【SIDの使い分け】

個別空港解説

この記事には一部筆者の独自研究及び推測が含まれます。

東京国際空港では2020年3月に大きな改正があり、他の空港では見かけない「ROVER ONE A DEPARTURE」「BEKLA ONE B DEPARTURE」など、数字の他にアルファベットのついたSIDが追加されました。

それぞれのSIDの使い分けや出発滑走路について解説します。

SIDの使い分け(日中運用)

ここでは05:51~22:49の間に出発する航空機に適用される「日中運用」について解説します。

東京に限った話ではありませんが、目的地によってSIDが異なります。
Change of Flight Planned Routesに公示されているルートを元に表を作成しました。

SID 目的地
ROVER DEPARTURE
 ―BRUCE TRANSITION
北方面・ヨーロッパ・トルコ・北米 (NOPACを除く)
ROVER DEPARTURE
 ―AKAGI TRANSITION
ヨーロッパ・トルコ
ROVER DEPARTURE
 ―INUBO TRANSITION
NOPAC・太平洋
BEKLA DEPARTURE 北陸・山陰・韓国・中華人民共和国北部
RJGG
RITLA DEPARTURE RJFF・RJFU・RJOA
NINOX DEPARTURE 北部九州・中華人民共和国南部
RJBE・RJOB・RJOT・RJOM・RJOI・RJDC
A593
LAXAS DEPARTURE RJBB・RJOO・RJOS・RJBD・RPLL・WIII・WSSS
A1・Y24・A590・V71・Y52
VAMOS DEPARTURE B586
RUTAS DEPARTURE RJAA

上表にないSEKIYADO・VADAR・ISOGO DEPARTUREは民間定期便に対しては使用されません。
OPPAR DEPARTUREは後ほど解説する深夜運用時に使用します。

ISOGO DEPARTUREはプロップ機のみが、過去に存在したHUMMINGBIRD DEPARTUREはジェット機のみが飛行することができます。

A?B?C?

2020年3月より南風の一部時間帯で「都心上空ルート」が始まったのはご存知の方が多いかと思いますが、その改正と同時に一部時間帯の北風運用時の経路も変更されました。

なお、新運用時に経路が変更されるのはRITLA・BEKLA・ROVER DEPARTUREのみで、NINOX DEPARTUREやLAXAS DEPARTUREに変更はありません

北風新運用の実施時間と、南風新運用の実施時間が異なるため、「従来どおりの運用」と「新運用」の二種類のSIDしかない場合、滑走路が変更されるたびにクリアランスを出し直す必要が出てきてしまします。

そのため、現在は時間に応じて3つのSIDを使い分けています。

運用 SID
従来どおりの運用
(下記以外の時間 *1)
RITLA/BEKLA/ROVER [NUMBER] A DEPARTURE
以下「A DEPARTURE」
北風時のみ新運用
(07:00~11:30)
RITLA/BEKLA/ROVER [NUMBER] B DEPARTURE
以下「B DEPARTURE」
北風・南風ともに新運用
(15:00~19:00 *2)
RITLA/BEKLA/ROVER [NUMBER] C DEPARTURE
以下「C DEPARTURE」

*1 正確には05:51~07:00、11:30~15:00、19:00~22:49
*2 15:00~19:00のうち約3時間


(リアルどおりの運用を行う場合)ゴールデンタイムはA DEPARTUREになりますが、南風新運用中はC DEPARTUREを使用しないと到着機と干渉してしまうので注意が必要です。

それぞれ解説していきますが、国土交通省「羽田空港のこれから」で分かりやすく解説されていますので合わせてご覧ください。

新北風運用 (07:00~11:30)

07:00~11:30の間は「B DEPARTURE」を使用します。
北風時は新北風運用を行いますが、南風時は従来どおりの経路を飛行し新南風運用の経路(都心上空ルート)は使用しません

「B DEPARTURE」は、滑走路05からの出発機との干渉を最小限にするため、従来の運用より早く北に旋回する経路となっています。

原図: 国土交通省航空局 eAIP Japan / RJTT AD2.24 Standard Departure Chart – Instrument (ROVER-A/B/C-RNAV) 2020.07.08

ARAKA・EDOJO・OHEDOは騒音を回避するため、荒川の上にあります。

SkyVector: https://skyvector.com/
新北風運用・新南風運用 (15:00~19:00)

15:00~19:00のうち約3時間は「C DEPARTURE」を使用します。
北風時、南風時ともに新運用を行います。

南風新運用時は到着機が直下を近い高度で飛行するため、高度を稼げるよう東側に突き出ています。
新南風運用時に「C DEPARTURE」以外を使用すると到着機に接近してしまうため注意が必要です。

原図: 国土交通省航空局 eAIP Japan / RJTT AD2.24 Standard Departure Chart – Instrument (ROVER-A/B/C-RNAV) 2020.07.08
従来どおりの運用

05:51~07:00、11:30~15:00、19:00~22:49は「A DEPARTURE」を使用します。

SIDの使い分け(深夜運用)

ここでは22:50~05:50の間に出発する航空機に適用される「深夜運用」について解説します。

深夜運用中は出発方向に関わらずOPPAR DEPARTUREを使用します。

From RJTT(EOBT between 1350UTC and 2050UTC)
 RJTT-OPPAR; (for RNAV1)
 ~JYOGA Y371 YONOH Y373 SANOH Y882 ONUMA Y883 YTE Y11…(for RJCC)
 ~JYOGA Y371 KALON Y37 AVGOK…(for Europe)
 ~JYOGA Y371 KALON Y37 HAIJI Y375 IGROD… (for Europe)
 ~JYOGA Y566 LAXAS Y56… (for West)
 ~JYOGA Y566 LAXAS Y56 NADAR Y562 MAYON A597 BUBDO A590… (for Southeast Asia)
 ~UTIBO Y803 POROT… (for NOPAC route/Pacific Ocean/Hawaii)
 ~UTIBO Y821 LIGNI Y816/Y818/Y821… (for Pacific Ocean/Hawaii)
 ~UTIBO Y87… (for South)

AIC 034/20 Change of Flight Planned Routes (18 JUN 2020)

必ずeAIP Japan等で最新のものをご確認ください。

JYOGAへはJYOGA TRANSITION、UTIBOへはUTIBO TRANSITIONを使用します。

出発滑走路

日中運用

東京には4本の滑走路がありますが、現在民間定期便の出発に使用されているのは16L/R、34R、22、05の5つです。
通常、民間定期便に対しては04及び23は使用していません

その5つの使い分けですが、経由地点/航空路や便によって使用する滑走路が決められています。

経由地点/航空路 出発滑走路
北風運用 南風A/B運用 南風C運用
ROVER, Y884, Y885 RWY34R RWY16L RWY16R(*1)
Y18(*2) RWY34R/05 RWY16L/R RWY16R/22
Y20(*2) RWY34R/05 RWY16L/R RWY16R/22
Y28, Y56, XAC RWY05 RWY16R RWY22

南風A/B運用: 着陸滑走路にRWY22/23を使用する運用
南風C運用: 着陸滑走路にRWY16L/Rを使用する運用 (新運用)
*1 北米・ヨーロッパ・トルコ行きはRWY16Lを使用します。
*2 出発滑走路は便ごとに、スケジュール決定時に割り当てられます。

事前に「Flightradar24」等で出発滑走路を確認するとスムーズにFMSのセットアップができるのでおすすめです。


また、北米・ヨーロッパ・トルコ行きと深夜帯を除いて、原則滑走距離2500m以内で離陸できる必要があります。

大幅に抜粋しています。詳細はRJTT AD2.20 1.2(6)をご覧ください。

深夜運用

深夜運用時間帯は、北風時は滑走路05、南風時は滑走路16Lを優先的に使用します。
それ以外の滑走路の運用は以下のとおりです。

滑走路 条件
滑走路05/16L 優先的に使用
滑走路16R 滑走路05/16Lが使用できない場合に使用
滑走路34R 以下のどちらも満たす場合に使用
・滑走路16L/Rからの安全な離陸が不可能
・滑走路05が閉鎖中もしくは背風または横風制限を超過

なお、滑走路34Rから離陸する場合でも、D滑走路の航空機重量制限を満たし、滑走路34Rの南端から滑走路長2500mで離陸を行う必要があります
ただし、機材性能や路線距離などの理由から事前に滑走路34Rの使用が許可された便はこの限りではありません。その場合は、滑走路34Rの南端から滑走路長3000mでの離陸を行う必要があります。

滑走路05からの離陸機または滑走路34Rへの着陸機と、滑走路34Rからの出発機が競合した場合は前者が優先されます。
また、D滑走路の航空機重量制限の超過は、滑走路34Rを使用する理由にはなりません。

D滑走路の航空機重量制限は以下のとおりです。

航空機重量 主脚荷重 輪荷重
(lb) (kg) (lb/脚) (kg/脚) (lb/輪) (kg/輪)
881,800 400,000 307,500 139,500 57,700 26,200

事前に滑走路34Rの使用を許可されていない航空機が滑走路34Rからの離陸を行った場合は、東京空港事務所環境・地域振興課あてにFAXまたはEメールにより報告する必要がありますが、VATSIMでは再現されていません(?)

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