東京国際空港では、日本時間の23:00~翌06:00までの時間帯において、空港周辺地域への騒音を軽減するため、日中とは異なる運用(通称「深夜運用」)を行っています。
この記事では23:00~06:00の間の航空機に適用される「深夜運用」について解説します。
日中運用については別の記事で解説しています。
滑走路閉鎖
23:00~翌06:30までの間、メンテナンス等のため、一部の滑走路を閉鎖しています。
閉鎖される滑走路は曜日によって異なります。
閉鎖滑走路 | 月曜/日曜 | 火曜/金曜 | 水曜 | 木曜 | 土曜 |
A滑走路 | 23:00-06:30 | 23:00-06:30 | 23:00-06:30 | 23:00-06:30 | |
B滑走路 | 23:30-06:00 | 23:30-06:00 | 23:30-06:00 | ||
C滑走路 | 24:30-06:30 | ||||
D滑走路 | 23:30-06:00 | 23:30-06:00 |
A滑走路: 16R/34L B滑走路: 04/22 C滑走路: 16L/34R D滑走路: 05/23
A滑走路とB滑走路は滑走路閉鎖中であっても、滑走路を横断することができます。
また、06:00~06:30までの間は、閉鎖滑走路を使用せずに日中運用を行います。
運用滑走路とIAP
曜日や時間によって閉鎖されている滑走路が異なるため、運用する滑走路もそれにあわせて決められています。
また、天候別に細かくIAPや着陸/出発滑走路も決められています。
この項目での微風はおおよそ8KT以下と考えられます。
曜日 | 23:00 | 23:30 | 24:00 | 24:30 | (略) | 02:00 | (略) | 06:00 | ||||||||
月曜日 | C&D運用 | |||||||||||||||
火曜日 | C&D運用 | A&D運用 | ||||||||||||||
水曜日 | C&D運用 | C運用 | ||||||||||||||
木曜日 | C&D運用 | |||||||||||||||
金曜日 | C&D運用 | A&D運用 | ||||||||||||||
土曜日 | C&D運用 | C運用 | ||||||||||||||
日曜日 | C&D運用 |
C&D運用
C滑走路(16L/34R)及びD滑走路(05/23)を用いる運用です。
パターン | 天候 | IAP | 着陸滑走路 | 出発滑走路 |
C&D運用 | 北風微風 | ILS Y RWY34R | 34R | 05 |
北風強風 | ||||
北風悪天 | ||||
南風微風 | ||||
南風強風 | LDA Y RWY23 | 23 | 16L | |
南風悪天 | ILS Y RWY23 |
A&D運用
A滑走路(16R/34L)及びD滑走路(05/23)を用いる運用です。
RWY34Lに着陸する際は、騒音を軽減するためリバーススラストはアイドルパワーまでとされています。
パターン | 天候 | IAP | 着陸滑走路 | 出発滑走路 |
A&D運用 | 北風微風 | ILS Y RWY34L | 34L | 05 |
北風強風 | ||||
北風悪天 | ||||
南風微風 | ||||
南風強風 | LDA Y RWY23 | 23 | 16R | |
南風悪天 | ILS Y RWY23 |
C運用
C滑走路(16L/34R)のみを用いる運用です。
VOR A APPROACHを用いた16Lへの進入や、北風閑散時には着陸が34R、出発が16Lと、同じ滑走路を逆方向に使用するのが特徴的です。
パターン | 天候 | IAP | 着陸滑走路 | 出発滑走路 |
C運用 | 北風微風 | ILS Y RWY34R | 34R | 16L |
VOR A or VISUAL | 16L | |||
北風強風 | ILS Y RWY34R | 34R | ||
北風悪天 | ILS Y RWY34R | 34R | 16L | |
南風微風 | ||||
VOR A or VISUAL | 16L | |||
南風強風 | ||||
南風悪天 | D滑走路をオープンしてC&D運用 |
出発機
22:50~05:50の間に出発する予定の航空機は全機「OPPAR THREE DEPARTURE」を使用します。
そのため、日中運用とは異なる、JYOGAもしくはUTIBOから始まるルートで飛行する必要があります。
北に出発する航空機
RJTT-OPPAR; (for RNAV1)
AIC 021/21 Change of Flight Planned Routes (12 AUG 2021)より一部抜粋 (2021/09/07)
~JYOGA Y371 YONOH Y373 SANOH Y882 ONUMA Y883 YTE Y11…(for RJCC)
~JYOGA Y371 KALON Y37 AVGOK…(for Europe)
~JYOGA Y371 KALON Y37 HAIJI Y375 IGROD… (for Europe)
西に出発する航空機
RJTT-OPPAR; (for RNAV1)
AIC 021/21 Change of Flight Planned Routes (12 AUG 2021)より一部抜粋 (2021/09/07)
~JYOGA Y566 LAXAS Y56… (for West)
~JYOGA Y566 LAXAS Y56 NADAR Y562 MAYON A597 BUBDO A590… (for Southeast Asia)
東に出発する航空機
RJTT-OPPAR; (for RNAV1)
AIC 021/21 Change of Flight Planned Routes (12 AUG 2021)より一部抜粋 (2021/09/07)
~UTIBO Y803 POROT… (for NOPAC route/Pacific Ocean/Hawaii)
~UTIBO Y821 LIGNI Y816/Y818/Y821… (for Pacific Ocean/Hawaii)
南に出発する航空機
RJTT-OPPAR; (for RNAV1)
AIC 021/21 Change of Flight Planned Routes (12 AUG 2021)より一部抜粋 (2021/09/07)
~UTIBO Y87… (for South)
SIDの使い分け
行き先にかかわらずOPPAR THREE DEPARTUREのみを使用します。
SID | 目的地 |
OPPAR DEPARTURE
―JYOGA TRANSITION
|
西方面・ヨーロッパ・東南アジア・RJCC |
OPPAR DEPARTURE
―UTIBO TRANSITION
|
南方面・NOPAC・太平洋・ハワイ |
出発滑走路
「運用滑走路とIAP」で解説したとおり、北風時はRWY05、南風時はRWY16Lを優先的に使用します。
順位 | 滑走路 | 条件 |
1 | RWY05/16L | 優先的に使用 |
2 | RWY16R | RWY05/16Lが使用できない場合に使用 |
3 | RWY34R |
以下のどちらも満たす場合に使用
・RWY16L/Rからの安全な離陸が不可能
・RWY05が閉鎖中もしくは背風または横風制限を超過 |
RWY34Rからの出発
RWY34Rから離陸する場合は、D滑走路の航空機重量制限を満たし、RWY34Rの南端から滑走路長2500mで離陸を行う必要があります。
ただし、機材性能や路線距離などの理由から事前に滑走路34Rの使用が許可された便はこの限りではありません。その場合は、滑走路34Rの南端から滑走路長3000mでの離陸を行う必要があります。
RWY05からの離陸機またはRWY34Rへの着陸機と、RWY34Rからの出発機が競合した場合は前者が優先されます。
また、D滑走路の航空機重量制限の超過は、滑走路34Rを使用する理由にはなりません。
騒音軽減運航方式
RWY04/05/34Rから出発する場合、空港周辺地域への航空機の騒音を軽減するため、各航空会社のフライトマニュアルに規定されているバンク角及び速度により、できるだけ早く旋回を開始するよう定められています。
到着機
STARの始点はGODIN・POLIXを除いてMESSEを加えた4カ所です。
西・南からの到着は日中運用と同じ航空路から進入できますが、北・東からの23:00~翌05:59までに東京に到着する予定の航空機は、日中運用とは異なるルートで飛行する必要があります。
GODINを経由する航空機
日中
…Y10 GODIN-RJTT
AIC 021/21 Change of Flight Planned Routes (12 AUG 2021)一部抜粋
深夜
…Y10 DAIGO Y108 MESSE-RJTT
POLIXを経由する航空機
日中
…Y807 POLIX-RJTT
AIC 021/21 Change of Flight Planned Routes (12 AUG 2021)一部抜粋
深夜
…Y807 LALID Y804 INUBO Y108 MESSE
STARの使い分け
VOR A APPROACHを除いてNIGHT ARRIVAL、VOR A APPROACHにはV ARRIVALを使用します。
経由地点 | IAP | STAR |
XAC |
ILS Y RWY34R ILS Y RWY34L LDA Y RWY23 ILS Y RWY23 LDA Y RWY22 |
OSHIMA NIGHT |
AKSEL | AKSEL NIGHT | |
AROSA | AROSA NIGHT | |
MESSE | MESSE NIGHT | |
XAC | VOR A | OSHIMA V |
AKSEL | AKSEL V | |
AROSA | AROSA V | |
MESSE | MESSE V |
着陸滑走路
「運用滑走路とIAP」で解説したとおり、北風時はRWY34R、南風時はRWY23を優先的に使用します。
順位 | 滑走路 | 条件 |
1 | RWY34R/23 | 優先的に使用 |
北風2 | RWY34L | RWY34Rが使用できない場合に使用 |
南風2 | RWY16L | RWY23が使用できない場合に使用 |
南風3 | RWY22 | RWY23及びRWY16Lが使用できない場合に使用 |
騒音軽減運航方式
すべての滑走路において、空港周辺地域への航空機の騒音を軽減するため、運航上可能な限り遅く脚下げを行う必要があります。
また、22:00~翌07:00までは、フラップを下げる時期を遅くし、その間のエンジン出力を減少させ、騒音を抑える「ディレイド・フラップ進入方式」を行います。
RWY34L/22への着陸
RWY34LもしくはRWY22に着陸する場合、騒音を軽減するためリバーススラストはアイドルパワーまでとされています。
RWY16Lへの着陸
空港の北部にある居住地域への騒音を軽減するため、下図のコースまたはその内側を飛行する必要があります。
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