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関西の玄関口、伊丹空港こと大阪国際空港。
着陸編では、TWR以下の流れをメインに解説します。
運用時間や注意点などは出発編をご覧ください。
なお、あくまでも現実世界の話であり、VATSIM上でこのとおりに運用されるとは限りません。
このページでは着陸の流れを解説します。
標準交信例・解説
着陸
交信例(32運用時)
Osaka Tower, JAL2006. Departed IKOMA, RWY32L.
JAL2006, Osaka Tower. RWY32L, report 6DME.
Report 6DME. JAL2006
JAL2006, 6DME.
JAL2006, RWY32L cleared to land. Wind 170 at 3.
RWY32L cleared to land. JAL2006.
イニシャルコンタクト
大阪国際空港のATISには「INFORM YR LDG RWY TO OSAKA TWR ON INITIAL CTC.」と記載があり、大阪TWRへのイニシャルコンタクトで着陸滑走路を通報する必要があります。
Osaka Tower, JAL2310. RWY32R.
リポート指示
到着機には、イニシャルコンタクトの際にまずリポート指示を出します。
RWY32L/Rのリポート位置は表の通りです。
進入方式 | リポート位置 | |||
---|---|---|---|---|
ILS RWY32L | 6DME | |||
RNP RWY32L | UMEDA | |||
ILS RWY32L circle to RWY32R | Right Break | |||
RNP RWY32R | TENMA | |||
Visual RWY32R | Right Base | |||
VOR A RWY32R | Right Break |
着陸滑走路変更
離陸機を入れたい場合や先行機と詰まり過ぎた際は着陸滑走路変更で対応する場合があります。
その際はパイロットに変更に対応できるか聞いてからの場合が多いです。
JAL2372, do you accept landing RWY32R?
Accept RWY32R, JAL2372.
JAL2372, change landing RWY32R. This time RWY32R continue approach.
Go Around
ゴーアラウンドの場合はMISSED APCHフォローがほとんどです。
この際の言い回しは十人十色です。(笑)
ANA552, execute missed approach procedure.
JAL127, follow missed approach course, and maintain 5000.
JAL2364, execute missed approach and climb and maintain 5000.
ANA41, follow missed approach procedure.
ハンドオフ先は関西ディパーチャー(FREQ:119.5)になります。
JAL127, contact Kansai Departure 119.5.
とてもレアですが、空いてる時はトラフィックパターンに入れることもあります。この際は空港西側のトラフィックパターンを使います。
この場合、キャンセルIFRせずに、IFRでトラフィックパターンを回ります。
JAL127, make left turn. Enter left downwind.
交信例(14運用時)
Osaka Tower, JAL119. RWY32L, circle RWY14R. 10NM final.
JAL119, Osaka Tower. RWY14R, report left break. Wind 130 at 8.
Report left break, RWY14R. JAL119.
Osaka Tower, JAL119. Now left break for right downwind. RWY14R.
JAL119, roger. Report right base for RWY14R.
Report right base for RWY14R, JAL119.
Osaka Tower, JAL119. Now on base.
JAL119, RWY14R cleared to land. Wind 140 at 7.
RWY14R cleared to land. JAL119.
リポート指示
14運用時も32運用時と同様にリポート指示を発出しますが、こちらは2か所でリポートします。
まずイニシャルコンタクトではLeft break、Left Breakの通報を受けたらRight baseでのリポートを指示します。
着陸許可又は進入継続指示はRight baseの通報があった際に発出されます。
Go Around
ILS RWY32L circle to RWY14L/Rの場合はLeft Break前であればMISSED APCH、ファイナルの場合はHDGとALTを指示します。
ANA506, fly heading 100, climb and maintain 5000.
この後は32運用時と同じく関西ディパーチャー(FREQ:119.5)にハンドオフします
地上走行
交信例(TWR)
JAL2006, W9, cross RWY32R.
W9, cross RWY32R. JAL2006.
JAL2006, affirm. Contact Osaka Ground 121.7.
Contact Ground 121.7. JAL2006.
滑走路横断許可
大阪国際空港では、2009年の滑走路誤進入インシデントの発生以降、滑走路横断許可の指示に対してパイロットが正しく復唱した場合は可能な限り「Affirm」を送信することになっています。
復唱を確認したのち、「Affirm」と一緒にGNDへのコンタクト指示を発出します。
ANA41, cross RWY32R.
Cross RWY32R. ANA41
ANA41, affirm. Contact Osaka Ground 121.7.
A滑走路に出発機または到着機があり、滑走路手前待機させる場合は「Hold short of STOP LINE.」の用語を使用します。
JAL2238, turn right W9, hold short of STOP LINE. Arrival 32R.
14運用時
14Rに着陸した場合は、32Lの場合とは違いA滑走路まで距離があるので次のように指示を発出することが多いです。
JAL119, taxi via W3, B, hold short of RWY14L.
滑走路横断許可を出したのち、大阪GNDにハンドオフします。
14運用時は32運用時と比較して滑走路横断許可とGNDコンタクト指示を同時に発出することが多いようです。
JAL119, cross RWY14L. Departure waiting. Contact Ground 121.7.
他にトラフィックがいない場合は一気に滑走路横断許可まで出すこともあります。
JAL2084, turn left, cross RWY14L.
この場合はGNDの管轄に近づいてからコンタクト指示を発出します。
14運用時は「Hold short of STOP LINE.」を使用せず「Hold short of RWY14L.」を使用することがあります。
交信例(GND)
Osaka Ground, ANA41. Crossing RWY32R, SPOT10.
ANA41, Osaka Ground. Taxi via E4, Ramp and hold short of E3 due to pushback traffic.
Taxi via E4, Ramp, hold short E3. ANA41.
ANA41, taxi to SPOT10.
Taxi to SPOT10, ANA41.
スポットの通報
大阪GNDへのイニシャルコンタクトではスポット番号を通報します。
Osaka Ground, JAL119. Now crossing RWY14L, our spot 17.
地上のTips
伊丹には特有の誘導路としてE-INTやR-INT、Rampがあります。
その中でもE-INTは、W9からRWY32Rを横断してきた航空機を、C4経由でそのままRampに入れることができるので、場面によっては重宝するかもしれません。
この際はC4も走行指示の中に入れます。
Osaka Ground, JAL2088. Cross 32R at W9, SPOT15.
JAL2088, Osaka Ground. Taxi via C4, E-INT, Ramp to SPOT15.
SPOT19はA-TWY及びC4から直接入ることができます。
E-INT, R-INT, Rampについては出発編で解説しています!
大阪国際空港の地上は狭く、待機させる場所もほとんどありません。
混雑時は出発機と到着機どちらを先に通すのか、どこで待機させるのか、どこからRampに入れるかなどよく考えて指示を出す必要があります。
騒音軽減運航方式
大阪国際空港では、空港周辺における航空機騒音軽減のため騒音軽減運航方式が設定されており、eAIP RJOO AD 2.21 NOISE ABATEMENT PROCEDURESに記載されています。
全ての航空機に対して
RWY32/14に計器進入以外で進入する場合
視認進入やVFRなど計器進入以外で大阪国際空港に進入する場合はILSのグライドパスまたは、PAPIが示す適正進入角を下回っての進入をしてはいけません。
RWY14に周回進入で着陸する場合
気象条件が許す限り、周回進入を可能な限り高い高度で実施することが求められています。
ジェット機に対して
ジェット機については上記2つに加え、以下も定められています。
着陸
すべてのジェット機はディレイド・フラップ進入方式及び低フラップ角着陸方式により進入中の騒音を軽減する必要があります。
RWY32L使用時
RWY32Lに19時~21時(JST)の間に着陸する場合は、リバース・スラストの使用はアイドルまでに制限されます。
上記2つの方式によることができない航空機は実効的にこれらと同等と認められる代替方式を実施するものとされています。
これら4つはすべて運航の安全に支障がない範囲で適用されます。
コメント
航空無線に興味があり勉強中です。
記事中に「JAL2372, change landing RWY32R. This time RWY32R continue approach.」とありますが、RWYが変更されていないのですが、これはどのように解釈したらよいのでしょうか?
シチュエーションなどを含めて教えていただけると嬉しいです。
こんばんは。
コメントありがとうございます。
ご質問いただきました交信は、既にRWY32L進入中の航空機に対し、着陸滑走路をRWY32Rに変更する際の交信例です。
「Do you accept landing RWY32R? (32Rに下りることは可能ですか?)」
「Accept RWY32R(32Rへの変更可能です)」
「Change landing RWY32R. This time RWY32R continue approach.(RWY32Rに変更します。RWY32Rへの進入を継続してください。)」
ご不明な点などございましたら、お気軽にご返信ください。