OJT中の空域でフライトする際によくある事例

この記事は「Reverse Green」で公開されていたものです。

Student2/TWR OJT

クリアランスの発出に時間がかかる

S2訓練生(S1レーティング保持者)は、初めて上空を高速で移動する航空機に対して指示を出し、交通の流れを整えるという経験をしているところです。
また、TWR管制圏の半径5NMというのは想像以上に狭く、少し迷ってる間に航空機はどんどん移動していってしまいます。
このような状況ではなかなか地上のトラフィックにまで手が回らないのが、むしろ通常と言っても過言ではありません。(もちろんS2レーティングを取るためには、地上もきちんと管制できるようになる必要があるわけですが。)

さらにクリアランスは交信量も非常に多く、その前の作業としてSIDやトランジッション、暫定維持高度の調査等を行う必要があり、しかもクリアランス待ちの航空機は停止した状態にあるので、どうしても交信の順番が後になりやすいのです。
その結果、特にOJT初期では、クリアランスを受領するまでに非常に長い時間を要することがあります。上空にVFR機がたくさん居るような状態では、30分待ちもザラだと考えた方が良いでしょう。下手すると1時間待っても貰えないかもしれません。

あまりに忙しそうなときは、諦めて別の空港から出発するのもひとつの手です。その際には、訓練生にプライベートメッセージで一言添えておくと更に良いでしょう。
(読んでる余裕はないでしょうから、返事は待たなくても大丈夫です。むしろ返事を待っていると「返信しないといけない!」と思わせてしまい、逆に負担になってしまいます。)

他機との異常接近

上述の通り、TWRの管制圏というのは想像以上に狭いです。
そのなかで訓練生がどこか一部に集中してしまうと、他の場所であっという間にトラフィック同士が異常接近してしまうこともあります。
OJT中の空域でフライトする際は、いつも以上に外部監視を入念に行ってください。

全然離陸/着陸できない

「なんとか滑走路端までこぎ着けたは良いけど、離陸させて貰えない」とか、「ホールドを指示されてそのまま、進入させて貰えない」なんていうことも、トラフィックが多い場合は充分想定されます。
訓練生はどうしても、管制圏内を飛んでいるトラフィックに注意が集中しがちです。また、管制圏内を飛んでいるトラフィックを外に出して待機させる、というのもちょっぴり勇気が要りますし、そもそも思いつかない場合もあります。

クリアランスで30分待って離陸で30分待って、なんてこともあるかもしれません。OJT中はまぁそんなもんだ、と思って頂ければ幸いです。着陸待ちの場合は、インテンションの変更を伝えた後、落ち着くまでその辺を遊覧飛行して待つのも良いでしょう。

Student3/APP OJT

クリアランスの発出に時間がかかる

S3訓練中でも時間かかります。恒例です。
ターミナルレーダーではタワーに比べて広い範囲を見なければならないので、その分地上への注意が疎かになりがちです。
また、タワーではパイロットに任せることが出来た飛行経路の設定を、レーダーベクターという形で今度は自分で行わなければなりません。さらにアプローチクリアランスを発出する段階では、かなり精密なベクターが要求されます。
その中ではやはりクリアランスの交信が後に回ってしまうことが多いのです。
こちらもトラフィックの状況によって、20~30分待ちくらいは覚悟してログインすべきでしょう。

滅茶苦茶遠回りでレーダーベクターされてしまう

この失敗も、訓練生は大体全員経験するであろうものです。恒例行事です。
人間どうしても忙しくなってくると、どこか1点に注意が集中してしまい、他の情報をことごとく見落としてしまうことがあります。
その結果、指示を出し忘れたトラフィックがどんどん空港から離れていき、さらに視界の外へと遠ざかってしまうのです。

教官がついている場合はそのまま付き合ってあげても、本当に手遅れになる前には修正してくれます。しかし訓練生ひとりで管制している場合、気付かずにそのままになってしまう恐れがあります。
その場合は、明らかに空域から出てるよなぁ、となる頃には注意喚起してみてあげて下さい。

また、用心深いタイプの訓練生の場合、他機との間にかなり広めに空間を空けてレーダーベクターしていることがあります。
最初の頃は間隔をどれくらい空けておけば良いのか、なかなか勘が掴めないものです。
レーダー管制をやったこと無い人からすると「5NM空けておけば良いのでは?」と思われるかもしれませんが、実際はそんなに単純ではないのです。トラフィックは滑走路に近付くにつれて減速していく必要がありますから、次第に後ろのトラフィックが前に近付いてきます。最初の段階である程度スペースを確保しておかないと、ファイナルで5NM以上の間隔を確保できなくなってしまうのです。

Controller1/CTR OJT

クリアランスの発出に時間がかかる

えぇ、恒例です。
さらにCTRの場合は、日本各地の出発経路を調べなければなりません。これがかなりの負担です。出発経路上にないポイントをフライトプランの開始地点にしているパイロットがいると、更に大変です。頑張ってその空港の出発経路を全部調べて、それが全部水の泡になってしまいます。こういう場合、あなたが適切なフライトプランを提出していても、巻き添えを食うことになるわけです。
CTRの場合はTWRの場合と同じように、混雑しているときは最大1時間遅れくらいまであり得ると考えた方が良いでしょう。

STARやIAPのクリアランスが来ない

CTRの場合、非常に広大な空域を担当しなければなりません。その為、必要な許可の発出が遅れることは充分あり得ます。
STARやIAPの場合、出発時のクリアランスと違ってトラフィックは飛行中ですから、待つということも基本的には出来ません。ですので、遅くとも終点の5~10NMくらい手前で、クリアランスを要求しておきましょう。CTRが忙しそうな場合等は、STARやIAPの名称を添えてリクエストするとより親切です。
それでもSTARの承認や進入許可が発出されない場合は、基本的にSTARがあればATIS等から予想されるIAPに繋がるSTARを飛行し、IAPであれば進入フィックスでホールディングを行います。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

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