到着機同士の優先順位

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空は広いとは言われますが、航空機が好き勝手に飛んでいてはいずれ衝突してしまします。しかも一つの飛行場を目指して複数の航空機が飛行していれば、飛行場周辺において衝突する可能性が上昇してしまうことは容易に想像できるかと思います。

では、どうやって飛行場周辺では秩序を保っているのでしょうか。トラフィックが集中する飛行場では当然管制官等が交通整理に当たりますが、その際に進路権(Right of way)とういう用語が登場います。

法令

進路権は「その航空機が他の航空機に優先して飛行する権利」とも言いますが、実際は飛行する航空機同士の進路が競合してしまう場合において、取らなければならない行動でもあります。進路権を持っていてもその行動には制限を受けます。
世界共通の約束事でもありますが日本においても法令で定められています。

本記事の進路権は到着順序を考察するために用います。一般的な航空機同士の衝突回避のプロセス等とは少し異なります

第百八十三条 着陸のため最終進入の経路にある航空機及び着陸操作を行つている航空機は、飛行中の航空機、地上又は水上において運航中の航空機に対して進路権を有する。
第百八十四条 着陸のため空港等に進入している航空機相互間にあつては、低い高度にある航空機が進路権を有する。ただし、最終進入の経路にある航空機の前方に割り込み、又はこれを追い越してはならない。

第百八十六条 進路権を有する航空機は、その進路及び速度を維持しなければならない。

航空法施行規則

到着機の観点から解釈するするならば、進路権は『待機行動を取ることなく滑走路を使用する権利』と解することができるでしょう。進路権を現在持っていない航空機は、何らかの回避行動や遅延行動を取る必要があります、固定翼では停止して待機をすることが難しいので大抵旋回待機、つまりホールディングをすることになります。

上記法規から最終進入の経路上にいる航空機、ないし先に到達する航空機に進路権が発生すると言い換えることができます。

First final,First way

第百八十三条によるならば着陸のために進入している航空機は他の航空機に対して進路権を有していると示し、第百八十四条は進入機同士の順列を示しています。

最終進入の定義は管制方式基準にも記載されています

最終進入(Final approach)
a.計器進入方式に従い侵入する場合において、航空機が次に掲げる地点を通過してから飛行場周辺の着陸が可能となる地点又は進入復航点に至るまでの間の計器進入の部分をいう。
(a) 方式旋回又は基礎旋回を完了した地点
(b) 最終進入フィックス
(c) その他当該進入方式に指定された最終の直線経路が始まる地点
b 場周経路の最終部分をいう。

最終進入コース(Final approach course)
ローカライザーコースの中心線、放射方位若しくはベアリングにより示される最終進入の経路若しくはこれらの延長線又は滑走路中心線の延長線をいう。

VATJPN管制方式基準(Ⅰ)2a

エクササイズ

例を見ながらTWR管制官の目線で考察していきます

上図はある滑走路の端とその延長線、またLOC進入の最終進入FIX(FAF)を表したものです

パターン1:A機、B機共にLOCコース上で進入中

シンプルなパターンです、どちらも最終進入コース上にいますがB機の方が高度が低いので進路権はB機にあります。

パターン2:A機はLOC進入、B機はトラフィックパターンを飛行して進入中

第百八十四条の前半によるならばB機に進路権が一見発生しているように見えますが、A機が既に最終進入コース上にいるので同条後半にあるようにB機はA機を割り込んでファイナルレグに入ることはできません。A機が先に滑走路を使う権利がありますので、B機は何らかの待機指示が必要です。
S2OJTで度々見る光景です。

パターン3:A機、B機共にトラフィックパターンを飛行中

B機の方が高度が低いですが、A機が先にファイナルレグに到達するのでA機が先に滑走路を使用します

パターン4:A機はLOCに向けて飛行中、B機はトラフィックパターンを飛行中

パターン2に似た状況です。A機がまもなく最終進入コースに入りますのでB機を待機させるのもありです。しかし、A機が滑走路端に到達する前にB機が滑走路をクリアにできると判断できるならば、Bを先に進入させてもよさそうです。

パターン5:A機は最終進入コース上、B機は出発機で滑走路端で待機中

出発機と到着機の関係です。A機に進路権がまもなく発生しますが、A機に対して管制間隔を満たせるならば、B機が先に離陸滑走を始めてもいいかもしれません。

おわりに

進路権という膨大なテーマより今回は到着機という条件から更に絞って記事としました。もし着陸順序を決定するのに迷いや悩みがあるならば、当記事を参考の一助としていただければ幸いです、また実際に航空機の順序を決定する要素は他にも多く存在しますので、OJTなどで習得してください。

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