【お詫び】内容の正確性について

なぜ「HIGHWAY VISUAL」があるのか【SHORT】

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この記事には筆者の独自研究及び推測が含まれます。

東京国際空港では、北風の好天時にILSではなく「HIGHWAY VISUAL RWY34R」を優先的に使用します。
…なぜ使用するのかご存じですか?


原図: 国土交通省航空局 eAIP Japan / RJTT AD2.24 Other Chart (HIGHWAY VISUAL RWY34R) 2021.08.18

「HIGHWAY VISUAL RWY34R」はCharted Visual Approach(CVA)と呼ばれる、ビジュアルアプローチの一種です。
普通のビジュアルアプローチとは違い、チャートに公示された方法で飛行する必要があります

ILSではなく特殊なビジュアルアプローチを行っている訳は、同時平行進入を行う相方である「ILS X RWY34L」にあります

ILS X RWY34Lの飛行経路とその目的

ILS X RWY34Lは東京湾上空にあるKAIHOを経由して進入します。
木更津地域の騒音回避を目的として、RWY34Lに着陸する場合はILS X RWY34Lが優先的に使用されています。

原図: 国土交通省航空局 eAIP Japan / RJTT AD2.24 Instrument Approach Chart (ILS X RWY34L) 2021.08.18

同時平行ILS進入の条件

同時平行ILS進入を行うには滑走路の中心線の間隔など、様々な条件があります。
そのうちの一つに「それぞれの進入復行経路が30度以上分岐するよう設定されていること」というものがあります。

平行滑走路にそれぞれ設置されたILSにより進入を行う場合で、次に掲げる条件を満たす場合は、同時平行ILS進入を行うことができる。ただし、地上の風向・風速及び最終進入コース上のウィンドシアーその他の悪気象現象等に留意し、航行の安全に支障があると思われる場合は適用しないものとする。
  (a.~c. 省略)
  d. それぞれの進入復行経路が30度以上分岐するよう設定されていること
  (以下略)

VATJPN管制方式基準 (Ⅳ) 8-4 (1)

進入復行経路を南に旋回するよう設定してしまうと、KAIHO付近を飛行する後続の進入機に干渉してしまうため、ILS Z RWY34Lと同じような経路にすることができません。

原図: 国土交通省航空局 eAIP Japan / RJTT AD2.24 Instrument Approach Chart (ILS Z RWY34L) & Instrument Approach Chart (ILS X RWY34L) 2021.08.18

西に旋回させるにも横田空域の問題や、川崎・横浜地域への騒音の問題があります。
そのため、ILS X RWY34Lの進入復行経路は北東側に設定されているのです。

ですがそれでは同時平行ILS進入の条件を満たすことができません

条件を満たせないのなら…

同時平行ILS進入の実施条件を満たせないならどうするのか。
同時平行ILS進入を行わず一本の滑走路で運用する方法や、平行ILS進入を行うなどの方法がありますが、それでは東京に飛来する多くの航空機を円滑に進入させることができなくなってしまいます。

そこで、ILSではなくCharted Visual Approachを用いることで「同時平行ILS進入」の条件を適用することなく、ILSとVISUALによる同時平行での進入を可能にしているのです。

HIGHWAY VISUAL RWY34Rにおいて進入を復航する場合の経路は以下のように公示されています。

In the event of a go-around, climb via ITC LOC and after THR HDG030˚ to 3000FT until receiving ATC instructions.

国土交通省航空局 eAIP Japan / RJTT AD2.24 Other Chart (HIGHWAY VISUAL RWY34R) 2021.08.18

ILS X RWY34Lの進入復行経路はRWY HDGをHANEDA VOR/DMEから3DMEの地点まで維持するよう公示されているため、「それぞれの進入復行経路が30度以上分岐するよう設定されていること」という条件は満たせずとも、安全な間隔を保つことができます

原図: 国土交通省航空局 eAIP Japan / RJTT AD2.24 Instrument Approach Chart (ILS X RWY34L) & Other Chart (HIGHWAY VISUAL RWY34R)

なぜ好天時のみなのか

常時ILS X RWY34Lを行うことができれば、木更津地域の騒音を常に抑えることができます。
ですが前述のとおり、ILS X RWY34Lを行っている間は、RWY34RにILSで進入することができません。

HIGHWAY VISUAL RWY34Rを行うにはランドマークであるHIGHWAY(海ほたる)が見えている必要があるため、HIGHWAYが見えないような天気の場合は仕方なくILS Z RWY34L/Rによる同時平行ILS進入を行っているのです。

結論

HIGHWAY VISUAL RWY34Rを優先的に使用する理由
それは同時平行進入の相方である、木更津地域の騒音を最小限に抑えたILS X RWY34Lを使用したいから
ILSではなくCharted Visual Approachなのは、同時平行ILS進入の要件を満たせないから
ということになります。

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