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SID(Standard Instrument Departure)は標準計器出発方式、Transitionは転移経路を指します。
航空機は滑走路から離陸したあと、SIDに従って飛行し、必要があればTransitionを通ってエンルートに合流します。
チャートにはSIDだけのものやTransitionだけのもの、両方載っているものがあります。
RNAVを使用するSID・Transition
SID
RNAVを使用するSID・Transitionはチャートの右上にRNAVの記載があります。
RNAVのSID・Transitionは、RNAVを使うことができる航空機しか使うことができません。
以下は東京国際空港のROVER ONE A DEPARTUREのチャートです。
チャートの1枚目を見ると、ルートの始点に滑走路が示されているのは分かると思います。
TORAMに真っ直ぐ向かっているのがRWY04、右旋回で向かっているのがRWY34R及び34L、PLUTO直行がRWY05、T6R11へ向かっているのがRWY16R、T6L23へ向かっているのがRWY16Lです。
東京以外の空港では、すべての滑走路から離陸できるよう経路が設定されてることがほとんどですが、上のチャートではRWY22と23からはルートが延びていません。
これは、RWY22と23にROVER ONE A DEPARTUREが設定されていないことを示しています。
VOR等の無線施設を使う場合は、その情報も記されています。

FIXやVORのそばに書いてある数字は、高度や速度に関する指示です。
例えば、SPOONはFL150以下で通過、ROVERは12,000ft以上で通過しなければなりません。

AIPのチャートで用いられる主な高度制限の表記と意味は上の表のとおりです。
表中の下2つは、ほぼ使う機会がないので知らなくても大丈夫でしょう。

ルート上に書き込まれている数字は方位と距離です。
SPOONから347°で5.2NM(ノーティカルマイル/海里)飛行すると、ROVERに到着します。
そして、これまで出てきたようなチャートはすべて別途文章で記載されています。
英語で書かれていますがそこまで難しくはないので、図がごちゃごちゃしていて分かりづらい場合などは、その文章を読むと理解しやすくなります。

Transition
次はTransitionチャートです。
以下は福岡空港のYOKATから繋がるRNAV TRANSITIONが記載されたチャートです。
基本的にTransitionチャートも、SIDチャートと表記は同じです。
ただし、Transitionチャートは空港によってSIDチャートに付属していたり、独立していたりと様々ですので注意しましょう。
RNAVを使用しないSID
RNAVを使わないSIDのチャートは下のようになっています。
FMS非搭載機の場合は、SIDやTransition、そしてSTARも、必ずチャートの右上にRNAVの記載のないものを使用しましょう。
大阪国際空港のIZUMI ONE DEPARTUREです。
RWY32L/Rから離陸した場合はそのまま直進し、500ftを超えたら滑走路端から4NM(ITAMI VOR/DMEの2.1DME)以内で左旋回します。そしてITAMI VOR/DMEの201ラジアルに乗って南進し、YODOHで左旋回、YAO VOR/DMEの295ラジアルに会合し、YAO VOR/DMEから9.4DME(ITAMI VOR/DMEから9.6DME)の地点で左旋回し、ITAMI VOR/DMEの184ラジアルに乗ってIZUMIに向かいます。
RNAVを使用しない場合のFIXは大抵、2つの無線施設からのラジアルが重なる点、または無線施設からのラジアルと距離によって定義されています。
例えばYODOHはITAMI VOR/DMEから201ラジアルで伸ばした直線と、YAOから295ラジアルで伸ばした直線の交点ということになります。デフォルト機でもVORは同時に2つ受信出来ますので、これを駆使すれば問題なく飛べるというわけです。
RNAV SIDでもチャートの文字を読むことは大切ですが、RNAVを使用しないSIDは特に文字を読むことが重要です。
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