プッシュバック・地上走行

初心者向け交信例等

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初心者歓迎イベント
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プッシュバック

クリアランスを受領し、航空機のセットアップとエンジンスタートの準備を完了したら、いよいよプッシュバック、つまり管制下で実際に飛行機を動かすことになります。特に小難しいやりとりもありませんし、ここでつまずくことはあまりないかもしれません。が!多くのパイロットが失念してしまう、でもやっておくべきことがひとつあるので強調しておきます。

それは、ATISの確認をし、プッシュバックのリクエスト時に管制官に対してATISを確認したと伝えることです。
つまり「Request push back,(we have)information ○.」と言うことを忘れないで欲しいのです。これを忘れると、管制官は気象情報の通報をしなければならなくなります。
つまりパイロットであるあなたも、その情報を聞き、必要な部分については復唱する手間が増えるわけです。誰も得しないどころか全員手間が増えてますよね。ついつい忘れがちですので、この機会にしっかり頭に置いておいてください。

空港のATISは原則としてタワー管制官が提供します。タワー管制官がいない場合はアプローチ管制官が提供しますが、特に複数空港を管轄する場合、ATISを提供出来ないことがあります。その場合は受領報告は不要です。
原則としてプッシュバックの際に気象情報等の提供がありますので、メモの用意をお願いします。

タワー管制官に限らず、管制官はATIS用のスペースに、パイロットに知っておいて欲しい情報を書いている場合があります。イニシャル(最初の)コンタクト(交信)の前に、管制官から情報提供がなされていないか、確認する癖をつけましょう。

ATISが提供されていない場合でも、こちらで気象状況をMETAR等で調べることが出来ます。慣れてきたら「we have xx airport weather information.」等と言って、管制官が気象情報の通報を省略できるようにすると手間を省けます。

プッシュバック時に使われる用語解説

Face to/Heading [方位]

グランドが混雑しているとき、プッシュバックの向きを指定されることがあります。概ね指定された方位に機首が来るようプッシュバックしましょう。(大抵東西南北のどれかで指示されるので、多少空気を読む必要があるときもあります。)
指示があるときは大抵滑走路とは反対(または関係ない方向)に機首を向けることになりますので、うっかり間違えないように気をつけましょう。

QNH

QNHとは高度計規正値のことです。
飛行機の高度計は気圧を計測し、それを元に高度を割り出しているのですが、その高度の割り出しに必要な数値がQNHになります。QNHはATISに記載されているか、管制官から情報提供されます。
しかしこれは、あくまでVATSIMで提供する気象に基づく値です。ウェザーソフトなどでVATSIMの気象情報を利用している場合には提供されるQNHをそのまま使えますが、フライトシミュレーターによるリアルタイムウェザーを利用していたり独自の気象条件を設定している場合は、提供される情報を無視して自分の環境にあったQNHをセットする必要があります。

プッシュバック交信例

ANA79
ANA79

Tokyo Ground ANA79, SPOT 62. Request push back. Information India.
東京グランド、ANA79です。現在地はスポット62番です。プッシュバックの許可をお願いします。ATIS情報Iを受信済みです。

RJTT_GND
RJTT_GND

ANA79, Tokyo Ground, push back approved RWY34R, heading North.
ANA79了解。滑走路34Rへのプッシュバックを許可します。機種を北側へ向けてください。

ANA79
ANA79

Push back approved RWY34R, heading North, ANA79.

ATISの受領報告がなかった場合(ATISが無い場合を含む)

ANA34
ANA34

Kansai Approach ANA34 position Osaka, request push back.
関西アプローチ、ANA34です。現在位置は大阪空港です。プッシュバックの許可をお願いします。

RJBB_APP
RJBB_APP

ANA34 push back approved RWY32L, wind 350 at 9, QNH2992.
ANA34了解。滑走路32Lへのプッシュバックを許可します。風は350°から9kt、QNHは2992です。

ANA34
ANA34

Push back approved RWY32L, QNH2992, ANA34.

地上走行

シーナリーとの違いに注意

フライトシミュレーターのデフォルトシーナリーや、無料で配布されている一部シーナリー等における誘導路は、実際の誘導路から微妙に、或いは大きくずれています。(特にデフォルトはなかなか酷いです。)
そのため、チャートから推測される景色とコックピットから見える景色には、当然ズレが生じます。

また、実際の誘導路の配置は工事で変わったり、増えたり、減ったりします。それに合わせて誘導路名の変更が行われることも少なくありません。したがって、例え有料シーナリーであろうとも、最新のデータに基づいていない場合はチャートとの間にズレが生じることになります。

他方、VATSIM管制官は基本的に最新版のチャートに基づいて管制を行います。各パイロットのシーナリーの状況を管制官が知ることは、事実上不可能だからです。
ですので、管制官から地上走行の経路を指定された場合、誘導路名が古い場合は最新版に読み替えてタクシーする必要がありますし、管制官から、自分にとって不都合な誘導路(例えばシーナリーに存在しない等)を指定された場合は、管制官に対して代替経路を提示するなどの対応が必要になります。

そのためには、パイロットであるあなたが、自分の環境とチャートとのズレをある程度把握しておく必要があります。
もちろん詳細に暗記する必要はありません。「この辺りは誘導路名が古いんだよな」とか「この辺は誘導路無いのがあるんだよな」とか、その程度で大丈夫です。
タクシー許可を貰ってからチャートと俯瞰視点等を活用して、管制官からの指示に従うことが可能かどうか確認しましょう。走行開始または管制官に代替案を提示するまで、概ね20秒以内が目安ではないかと思います。

もし地上走行の途中で管制官の指示通りにタクシーすることが出来ないと気付いた場合は、すぐ管制官に連絡しましょう。停止する必要がある場合は、なるべく周りのトラフィックがスムーズに地上走行出来るよう配慮しましょう。

滑走路誤進入

さて、滑走路が近づいてきたところでもうひとつ注意点があります。
リアルの世界でも滑走路への誤進入による重大インシデントというのは多く発生しているようで、如何に誤進入を防ぐか関係者の方々が頭を捻っているわけですが、VATSIMにおいても滑走路誤進入は御法度です。

  • Line up and wait(滑走路内待機)
  • Cleared for takeoff(離陸許可)
  • Cross runway xx(滑走路横断許可)
  • Taxi via runway xx / Backtrack runway xx(滑走路を使ってタクシーする場合)

上記以外の指示で滑走路に進入することは絶対にありません。指示内容に不安がある場合は、必ず管制官に確認しましょう。

地上走行時に使われる用語解説

Taxi to holding point ~

~までタクシーせよ、ということで、~の部分はタクシー許可の終点(限界点)になります。例え目的の滑走路の遙か手前であっても、指定された場所を越えてはいけません
さて、気をつけて欲しいのは、指定された終点が滑走路か誘導路かで、停止すべき場所が異なるということです。
例えばTaxi to holding point RWY32R.と言われた場合は32Rの取付誘導路で停止します。滑走路に進入してはいけません。
一方Taxi to holding point C1.と言われた場合は、C1誘導路の停止線で停止します。つまりC1誘導路に入ってから停止します。

Taxi to ~

誘導路や、誘導路上にある停止線までのタクシー許可を出す際には”holding point”の用語を使わない場合もあります。
この用語は滑走路手前へのタクシー許可には絶対に使用しませんので、タクシー許可の限界点は上記Taxi to holding point ~で誘導路名を指定された場合と同じになります。Taxi to E1.と言われた場合は、E1誘導路に入ってから停止します。

Via ~

~経由で、という意味です。クリアランスでも出て来ましたが、地上走行の際にも使用します。
「Taxi to holding point RWY32R via E1.」等というのが基本形ですが、「Taxi via E1 to holding point C1.」のように、viaが前に来る場合もあります。
意味は同じで、この辺は管制官やパイロットの好みです。

初心者に対しては、原則として管制官は地上走行に係る誘導路指定を行いません。
ですが、とても混雑している場合などはこの限りではないので準備をしておくに越したことはないでしょう。

Hold short of ~

~の手前で停止せよ、と言う意味です。この場合、指定された誘導路や滑走路に進入したり、ホールドラインを超えてはいけません。

例えば上の図のようにA誘導路を走行中、hold short of E3.と言われた場合、E3手前で停止します。(E3を他機が地上走行してから、再びあなたに地上走行許可が出ることになります。)

Cross runway

上でも軽く触れましたが、重要なことですので取り上げます。
離陸する滑走路へタクシーする途中、滑走路を横切らなければならない場合がありますが、滑走路を横断するためには必ず別途許可が必要です。絶対にCross runwayの許可を得るまでは滑走路に進入しないでください。
もし到着機も出発機もいない状態で指示を貰えないときは、忘れられているかもしれません。管制官に確認してみましょう。

地上走行交信例

ANA79
ANA79

Tokyo Ground, ANA79, request taxi.
東京グランド、ANA79です。地上走行を要求します。

RJTT_GND
RJTT_GND

ANA79, taxi to holding point RWY34R.
ANA79、RWY34R取付誘導路へ地上走行してください。

ANA79
ANA79

Taxi to holding point RWY34R, ANA79.

滑走路横断を含む場合の地上走行交信例

ANA34
ANA34

Osaka Ground ANA34, request taxi.
大阪グランド、ANA34です。地上走行を要求します。

RJOO_GND
RJOO_GND

ANA34, RWY32L, taxi to holding point C1.
ANA34、離陸滑走路は32Lです。誘導路C1へ地上走行してください。

この例ではC1はRWY32Rの取付誘導路です。また32Lへ行くためには32Rを横断する必要があります。

ANA34
ANA34

RWY32L, taxi to holding point C1, ANA34.
離陸滑走路32L、C1へ地上走行します。ANA34。

C1が近づいてきました。滑走路はタワー管制官の管轄ですので、ハンドオフされます。

RJOO_GND
RJOO_GND

ANA34, contact Osaka Tower 118.1.
ANA34、大阪タワーに118.1でコンタクトしてください。

ANA34
ANA34

Contact Osaka Tower 118.1, ANA34.

ANA34
ANA34

Osaka Tower ANA34, approaching C1.
大阪タワー、ANA34です。C1に接近しています。

RJOO_TWR
RJOO_TWR

ANA34 Osaka Tower, hold short of RWY32R, arrival traffic 3NM on final.
ANA34、大阪タワーです。滑走路32Rの手前で待機してください。到着機が3NMまで近づいてきています。

ANA34
ANA34

Hold short of RWY32R, ANA34.
32Rの手前で待機します。ANA34。

滑走路32Rへの到着機が着陸しました。

RJOO_TWR
RJOO_TWR

ANA34, at C1 cross RWY32R, taxi to holding point RWY32L.
ANA34、RWY32Rを横断し、RWY32L取付誘導路へ地上走行してください。

ANA34
ANA34

At C1 cross RWY32R, taxi to holding point RWY32L, ANA34.

プッシュバック・地上走行前のチェックリスト

  • 航空機のセットアップを完了
  • プッシュバックの準備を完了
  • グランドチャートを用意
  • ATISを隅から隅まで確認
  • プッシュバックのリクエスト時にATIS受領報告

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