アプローチ

初心者向け交信例等

この記事は「Reverse Green」で公開されていた記事を元に作成しています。

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初心者歓迎イベント
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出来ない・分からないをきちんと伝える

離陸や巡航は、よく分からないままでもなんとかなってしまうこともあります。(その裏で管制官が苦労していたりもしますが・・・。)
一方でアプローチはそうはいきません。天候などによって変わるSTARやIAPに対応しなければなりませんし、交信量も非常に多くなります。(レーダーベクターの場合でも最後は公示されたIAPに従って飛行することになります。)
他機との間隔も近くなります。時間的余裕も少なく、管制官の力だけではどうにもならないことも多いです。

初めから完璧に出来る必要はもちろんありませんが、その分、とにかく管制官としっかりコミュニケーションを取ってください。問題が起きた時は、自分が出来ること、分かること、そして出来ないこと、分からないことを出来る限りでいいので明確に伝えてください。
管制官がレーダー画面から読み取れる情報は、非常に限られています。あなたが今どういう状況に陥っているのかを知る手立ては、音声交信と文字チャットしか無いのです。

特に、管制官からの指示のうち意味が分からない、あるいはその時実行不能なものをリードバックするのはやめてください。リードバックしたということは、即ちパイロットが指示の内容を理解し、そのとおり実行するということを意味します。
「出来る」と言ったことが出来ていないとなると、最初から出来ないと言われたときよりも遙かに混乱が生じやすくなります。

ILS RWY19Lはデフォルトシーナリーなど、一部シーナリーには設置されていません。
テクノブレインから発売されているシーナリーも2019年5月29日以前にダウンロードしたものを使用している場合、アップデートを適用したり、改造したりしない限り設置されていません。

事前に自分の環境でILSを受信できるか、オフラインで確認しておくことをおすすめします。

また、ATISがILS Y/Z RWY19Lになっている場合は、ILS19Lがフライトシミュレーター上に存在しない旨を管制官に通報しましょう。(もちろん設置されている場合は不要です。)

MCPなどの操作

アプローチではヘディングや高度を頻繁に指示されます。フライトする前にMCPやFMSの使い方を確認しておきましょう。
なおPMDGのB737のAPの使い方は下の動画で解説されています。(MIYOSHI_KOUKOUさんからリンク掲載の許可をいただいています。)

MCPの高度には原則として指示されている高度を入力します。
アプローチにハンドオフされたからといって勝手に進入開始高度を入力してはいけません。

アプローチ空域への進入

さて、いよいよ本題ですが、前述した通り、原則としてフライトプランの終点=STARの始点となります。そして、離陸前のクリアランスで飛行の許可を得た際に言われたのは「flight planned route」ですので、実はフライトプランの終点までしか飛行を許可されていないということになります。
したがって、フライトプランの終点から先のフライトは、実は管制官からの追加の許可が必要になるのです。(当然管制官がいない場合はパイロットの判断でその先のルートへ進みます。)

もちろんそのことを管制官は理解していますから、飛行機がフライトプランの終点に到達する前に、その先についての指示や許可を発出します。(終点が近づいても指示がない場合は、管制官に確認してください。)
これについては2つのパターンを理解しておけば足ります。
ひとつはSTARの許可を発出され、ひとまずSTARの終点まで飛ぶパターンです。FMSがある場合はSTARを入力して、公示されたチャート通りにフライトしているか監視しましょう。

もうひとつはレーダーベクターによりIAPの始点、または途中の点、あるいはファイナルアプローチコース(滑走路の延長線上)までレーダー誘導されて飛ぶパターンです。ヘディングと高度を指示されながら飛行し、最終的にローカライザーやVORをインターセプトしたり、RNPアプローチやILSアプローチ上のFIXに直行することになります。
(たまに合わせ技でSTARの途中からレーダーベクターされることなどもあります。)

FMSやGPSを使用出来ない場合は、FIXへの直行は通常不可能です。Vector to [FIX名]やResume own navigation direct [FIX名]と言われた場合は、直ちに実行不可能であることを伝えてください。

アプローチ空域に進入する際の無線交信は、様々尾ひれがついて長くなることがよくあります。メモをしっかり取り、聞き逃したことはきちんと管制官に確認してください

また、前述した通り、巡航中に着陸滑走路やSTAR、IAPを予測し、管制官からの指示を予め予測しておくのも非常に効果的です。
なお、ATIS受領報告を忘れる(AITSが無い場合を含む。)と、これに到着空港の気象情報が加わるのでさらに長くなります。復唱を省略出来る部分もあるので、パイロットからの交信量はそれほどでもないのですが、着陸に関わる情報がとにかくたくさん飛んでくるので大変です。慣れてる人でも聞きそびれたりして、管制官に確認するシーンに遭遇することもあります。
ATISが用意されている場合は、アプローチとのイニシャルコンタクトの際、必ずATIS受領報告を行いましょう。

アプローチで使われる用語解説

以下も合わせてご確認ください。

Leave [FIX VOR等] heading [方位]

これも機首方位を指示する用語です。ただし旋回するタイミングも同時に指示されていることに注意が必要です。
例えばLeave OHDAI heading 280と指示された場合、その場で280度に旋回してはいけません。OHDAIを通過したらすぐに280度へ旋回を開始せよ、という意味です。

Descend via STAR to [高度]

これはチャートに記された制限に従って[高度]まで降下せよ、という意味です。
基本的には Climb via SID to [高度]の降下版と思っていただいて構いません。

アプローチ交信例

STARを経由しての進入の場合
RJCG_CTR
RJCG_CTR

ANA79, contact Chitose Approach 120.1.
ANA79、千歳アプローチに120.1でコンタクトしてください。

ANA79
ANA79

Contact Chitose Approach 120.1, ANA79.

ANA79
ANA79

Chitose Approach, ANA79, leaving FL219 for FL170. Information Echo.
千歳アプローチ、ANA79です。FL219を通過しFL170へ向けて降下中です。ATIS情報Eを受信済みです。

RJCC_APP
RJCC_APP

ANA79, Chitose Approach, cleared (to NACKS) via NAGANUMA SOUTH arrival. Descend and mantain FL150, cross NAVER at FL170. Expect ILS Y RWY19R approach.
ANA34、千歳アプローチです。(NACKSまで)NAGANUMA SOUTHアライバルでの飛行を許可します。FL150に降下し、NAVERをFL170で通過してください。ILS Y RWY19Rアプローチを予定しています。

ANA79
ANA79

Cleared (to NACKS) via NAGANUMA SOUTH arrival, descend and maintain FL150, cross NAVER at FL170. ANA79.

STARの許可はあくまで経路に関する許可であり、この指示だけで勝手に降下を開始してはいけません。維持すべき高度は別途管制官から指示されます。

レーダーベクターの場合
ANA79
ANA79

Chitose Approach, ANA79, leaving FL219 for FL170. Information Echo.
千歳アプローチ、ANA79です。FL219を通過しFL170へ向けて降下中です。ATIS情報Eを受信済みです。

RJCC_APP
RJCC_APP

ANA79, Chitose Approach, leave NAVER heading 030 vector to final approach course. Descend and mantain 10,000, cross NAVER at FL170.
ANA79、千歳アプローチです。NAVERを通過したら機首方位を030°に向けてください。ILS Y RWY19Rアプローチの最終進入コースに誘導します。10,000ftへ降下し、NAVERをFL170で通過してください。

ANA79
ANA79

Leave NAVER heading 030. Descend and mantain 10,000, cross NAVER at FL170. ANA79.

空港へのアプローチ

航空路からSTARやレーダーベクターで空港に近づいてくると、いよいよアプローチ(今回はIFRですので計器進入)です。ILSやVORの周波数を事前に準備し、IAPチャートで高度や速度、ルートを確認しておかなければいけません。

また、(規模の大小を問わず)空港によっては非常に多くのIAPが用意されている場合があります。例えば羽田はILS 34LだけでもILS Z、ILS Y、ILS Xの3つがありますし、LDA 22に至ってはLDA Z、LDA Y、LDA X、LDA Wと4種類が存在します。着陸滑走路が同じでも使用する計器や無線施設が違ったり、それらが同じでも進入経路や降下制限などが全然違うこともあります。
「ILSに乗ることが出来れば問題ないだろう。」と思って準備を怠って飛んでしまうと、痛い目を見る可能性も充分にあるのです。

もし着陸空港のリアルでの運用をよく知っていて、ほとんど(或いは全く)使用されないようなIAPがあることを知っているのであれば、それは除外しても構いませんが、そういった予備知識がない場合はすべてのIAPについて予習して、その中から自分の飛行ルートと気象状況を考慮して使用される可能性の高いIAPを選び、そのチャートについてはしっかりと読み込んでおく必要があります。

また、想定外のIAPを指示された場合やド忘れしたときのために、チャートをすぐに見られる環境を整えておきましょう。(特にファイナルアプローチの時はバタバタしていて、あまり時間がないことを頭に入れておいてください。)

Missed approachについても十分に理解して飛べるようにしておいてください。前方機と接近し過ぎた場合や、出発機が滑走路に誤進入したような場合には着陸復行を指示されることもあります。

ちなみに、アプローチのクリアランス(許可)は降下の許可も含んでいます。

伊丹空港のILS 32Lアプローチは3,500ftでグライドスロープに会合することになっていますが、例えば5,000ft(もちろんそれより高くても)までしか降下の指示を受けていない航空機が「Cleared for ILS RWY32L approach.」と言われた場合、その後はパイロットの判断で(チャートに従い)3,500ftまではもちろん、グライドスロープにのってその先まで降下することが可能です。

アプローチクリアランスの終点(限界点)はミストアプローチポイント(チャート上のMAPt)又は決心高度と理解しておけば問題ないでしょう。(ミストアプローチも許可されているらしいのですが、VATSIMでフライトをする上ではあまり意識しなくても構いません。)

当然ですが、アプローチクリアランスに着陸許可は含まれませんので、Cleared to landの一言があるまでは着陸してはいけません。

FMSを使用している場合でも、チャートとFMSに入力されているルートを比較して、抜けているFIXや高度/速度制限などがないか確認する必要があります。特に羽田空港や関西空港等のIAPで設定ミスが多いので要注意です。
抜けているFIXを飛ばしてショートカットしてしまったり、高度制限や速度制限を守らないと、管制官の意図に反して他機に急接近する危険があり、また高度が高すぎてグライドスロープに乗ることが出来ない等、着陸に失敗するリスクもあります。

ファイナルアプローチ交信例

STARを使いIAPに接近してきた場合
RJCC_APP
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ANA79, cleared for ILS Y RWY19R Approach.
ANA79、ILS Y RWY19Rアプローチを許可します。

ANA79
ANA79

Cleared for ILS Y RWY19R Approach, ANA79.

RJCC_APP
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ANA79, contact Chitose Tower 118.8.
ANA79、千歳タワーに118.8でコンタクトしてください。

ANA79
ANA79

Contact Chitose Tower 118.8, ANA79.

レーダーベクターでファイナルアプローチまで誘導されてきた場合
RJCC_APP
RJCC_APP

ANA79, turn right heading 220, you’re 9NM from WHITE, cleared for ILS Y Runway19R Approach.
ANA79、方位220°に右旋回してください。あなたはWHITEから9NMの位置にいます。ILS Y RWY19Rアプローチを許可します。

ANA79
ANA79

Turn right heading 220, cleared for ILS Y RWY19R Approach, ANA79.

RJCC_APP
RJCC_APP

ANA79, contact Chitose Tower 118.8.
ANA79、千歳タワーに118.8でコンタクトしてください。

ANA79
ANA79

Contact Chitose Tower 118.8, ANA79.

IAP上のFIXにレーダーベクターされてきた場合
RJCC_APP
RJCC_APP

ANA79, resume own navigation direct NACKS. You’re 6NM from NACKS. Maintain 3000 until NACKS, cleared for ILS Y RWY19R Approach.
ANA79、NACKSに直行してください。あなたはNACKSから6NMの位置にいます。NACKSまで3000ft以上を維持してください。ILS Y RWY19Rアプローチを許可します。

ANA79
ANA79

Direct NACKS, maintain 3000 until NACKS. Cleared for ILS Y RWY19R Approach, ANA79.

RJCC_APP
RJCC_APP

ANA79, contact Chitose Tower 118.8.
ANA79、千歳タワーに118.8でコンタクトしてください。

ANA79
ANA79

Contact Chitose Tower 118.8, ANA79.

アプローチ前のチェックリスト

  • (あれば)ATISの確認・アプローチ管制官への受領報告
  • 到着空港の気象情報を入手
  • STAR及びIAPの予測、チャートの確認
  • 着陸に向けたFMS等の設定

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