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出来ない・分からないをきちんと伝える
離陸や巡航は、よく分からないままでもなんとかなってしまうこともあります。(その裏で管制官が苦労していたりもしますが・・・。)
一方でアプローチはそうはいきません。天候などによって変わるSTARやIAPに対応しなければなりませんし、交信量も非常に多くなります。(レーダーベクターの場合でも最後は公示されたIAPに従って飛行することになります。)
他機との間隔も近くなります。時間的余裕も少なく、管制官の力だけではどうにもならないことも多いです。
初めから完璧に出来る必要はもちろんありませんが、その分、とにかく管制官としっかりコミュニケーションを取ってください。問題が起きた時は、自分が出来ること、分かること、そして出来ないこと、分からないことを出来る限りでいいので明確に伝えてください。
管制官がレーダー画面から読み取れる情報は、非常に限られています。あなたが今どういう状況に陥っているのかを知る手立ては、音声交信と文字チャットしか無いのです。
特に、管制官からの指示のうち意味が分からない、あるいはその時実行不能なものをリードバックするのはやめてください。リードバックしたということは、即ちパイロットが指示の内容を理解し、そのとおり実行するということを意味します。
「出来る」と言ったことが出来ていないとなると、最初から出来ないと言われたときよりも遙かに混乱が生じやすくなります。
MCPなどの操作
アプローチではヘディングや高度を頻繁に指示されます。フライトする前にMCPやFMSの使い方を確認しておきましょう。
なおPMDGのB737のAPの使い方は下の動画で解説されています。(MIYOSHI_KOUKOUさんからリンク掲載の許可をいただいています。)
アプローチ空域への進入
さて、いよいよ本題ですが、前述した通り、原則としてフライトプランの終点=STARの始点となります。そして、離陸前のクリアランスで飛行の許可を得た際に言われたのは「flight planned route」ですので、実はフライトプランの終点までしか飛行を許可されていないということになります。
したがって、フライトプランの終点から先のフライトは、実は管制官からの追加の許可が必要になるのです。(当然管制官がいない場合はパイロットの判断でその先のルートへ進みます。)
もちろんそのことを管制官は理解していますから、飛行機がフライトプランの終点に到達する前に、その先についての指示や許可を発出します。(終点が近づいても指示がない場合は、管制官に確認してください。)
これについては2つのパターンを理解しておけば足ります。
ひとつはSTARの許可を発出され、ひとまずSTARの終点まで飛ぶパターンです。FMSがある場合はSTARを入力して、公示されたチャート通りにフライトしているか監視しましょう。
もうひとつはレーダーベクターによりIAPの始点、または途中の点、あるいはファイナルアプローチコース(滑走路の延長線上)までレーダー誘導されて飛ぶパターンです。ヘディングと高度を指示されながら飛行し、最終的にローカライザーやVORをインターセプトしたり、RNPアプローチやILSアプローチ上のFIXに直行することになります。
(たまに合わせ技でSTARの途中からレーダーベクターされることなどもあります。)
アプローチ空域に進入する際の無線交信は、様々尾ひれがついて長くなることがよくあります。メモをしっかり取り、聞き逃したことはきちんと管制官に確認してください。
また、前述した通り、巡航中に着陸滑走路やSTAR、IAPを予測し、管制官からの指示を予め予測しておくのも非常に効果的です。
なお、ATIS受領報告を忘れる(AITSが無い場合を含む。)と、これに到着空港の気象情報が加わるのでさらに長くなります。復唱を省略出来る部分もあるので、パイロットからの交信量はそれほどでもないのですが、着陸に関わる情報がとにかくたくさん飛んでくるので大変です。慣れてる人でも聞きそびれたりして、管制官に確認するシーンに遭遇することもあります。
ATISが用意されている場合は、アプローチとのイニシャルコンタクトの際、必ずATIS受領報告を行いましょう。
アプローチで使われる用語解説
以下も合わせてご確認ください。
Leave [FIX VOR等] heading [方位]
これも機首方位を指示する用語です。ただし旋回するタイミングも同時に指示されていることに注意が必要です。
例えばLeave OHDAI heading 280と指示された場合、その場で280度に旋回してはいけません。OHDAIを通過したらすぐに280度へ旋回を開始せよ、という意味です。
Descend via STAR to [高度]
これはチャートに記された制限に従って[高度]まで降下せよ、という意味です。
基本的には Climb via SID to [高度]の降下版と思っていただいて構いません。
アプローチ交信例
STARを経由しての進入の場合

ANA79, contact Chitose Approach 120.1.
ANA79、千歳アプローチに120.1でコンタクトしてください。

Contact Chitose Approach 120.1, ANA79.

Chitose Approach, ANA79, leaving FL219 for FL170. Information Echo.
千歳アプローチ、ANA79です。FL219を通過しFL170へ向けて降下中です。ATIS情報Eを受信済みです。

ANA79, Chitose Approach, cleared (to NACKS) via NAGANUMA SOUTH arrival. Descend and mantain FL150, cross NAVER at FL170. Expect ILS Y RWY19R approach.
ANA34、千歳アプローチです。(NACKSまで)NAGANUMA SOUTHアライバルでの飛行を許可します。FL150に降下し、NAVERをFL170で通過してください。ILS Y RWY19Rアプローチを予定しています。

Cleared (to NACKS) via NAGANUMA SOUTH arrival, descend and maintain FL150, cross NAVER at FL170. ANA79.
レーダーベクターの場合

Chitose Approach, ANA79, leaving FL219 for FL170. Information Echo.
千歳アプローチ、ANA79です。FL219を通過しFL170へ向けて降下中です。ATIS情報Eを受信済みです。

ANA79, Chitose Approach, leave NAVER heading 030 vector to final approach course. Descend and mantain 10,000, cross NAVER at FL170.
ANA79、千歳アプローチです。NAVERを通過したら機首方位を030°に向けてください。ILS Y RWY19Rアプローチの最終進入コースに誘導します。10,000ftへ降下し、NAVERをFL170で通過してください。

Leave NAVER heading 030. Descend and mantain 10,000, cross NAVER at FL170. ANA79.
空港へのアプローチ
航空路からSTARやレーダーベクターで空港に近づいてくると、いよいよアプローチ(今回はIFRですので計器進入)です。ILSやVORの周波数を事前に準備し、IAPチャートで高度や速度、ルートを確認しておかなければいけません。
また、(規模の大小を問わず)空港によっては非常に多くのIAPが用意されている場合があります。例えば羽田はILS 34LだけでもILS Z、ILS Y、ILS Xの3つがありますし、LDA 22に至ってはLDA Z、LDA Y、LDA X、LDA Wと4種類が存在します。着陸滑走路が同じでも使用する計器や無線施設が違ったり、それらが同じでも進入経路や降下制限などが全然違うこともあります。
「ILSに乗ることが出来れば問題ないだろう。」と思って準備を怠って飛んでしまうと、痛い目を見る可能性も充分にあるのです。
もし着陸空港のリアルでの運用をよく知っていて、ほとんど(或いは全く)使用されないようなIAPがあることを知っているのであれば、それは除外しても構いませんが、そういった予備知識がない場合はすべてのIAPについて予習して、その中から自分の飛行ルートと気象状況を考慮して使用される可能性の高いIAPを選び、そのチャートについてはしっかりと読み込んでおく必要があります。
また、想定外のIAPを指示された場合やド忘れしたときのために、チャートをすぐに見られる環境を整えておきましょう。(特にファイナルアプローチの時はバタバタしていて、あまり時間がないことを頭に入れておいてください。)
ちなみに、アプローチのクリアランス(許可)は降下の許可も含んでいます。
伊丹空港のILS 32Lアプローチは3,500ftでグライドスロープに会合することになっていますが、例えば5,000ft(もちろんそれより高くても)までしか降下の指示を受けていない航空機が「Cleared for ILS RWY32L approach.」と言われた場合、その後はパイロットの判断で(チャートに従い)3,500ftまではもちろん、グライドスロープにのってその先まで降下することが可能です。
アプローチクリアランスの終点(限界点)はミストアプローチポイント(チャート上のMAPt)又は決心高度と理解しておけば問題ないでしょう。(ミストアプローチも許可されているらしいのですが、VATSIMでフライトをする上ではあまり意識しなくても構いません。)
当然ですが、アプローチクリアランスに着陸許可は含まれませんので、Cleared to landの一言があるまでは着陸してはいけません。
ファイナルアプローチ交信例
STARを使いIAPに接近してきた場合

ANA79, cleared for ILS Y RWY19R Approach.
ANA79、ILS Y RWY19Rアプローチを許可します。

Cleared for ILS Y RWY19R Approach, ANA79.

ANA79, contact Chitose Tower 118.8.
ANA79、千歳タワーに118.8でコンタクトしてください。

Contact Chitose Tower 118.8, ANA79.
レーダーベクターでファイナルアプローチまで誘導されてきた場合

ANA79, turn right heading 220, you’re 9NM from WHITE, cleared for ILS Y Runway19R Approach.
ANA79、方位220°に右旋回してください。あなたはWHITEから9NMの位置にいます。ILS Y RWY19Rアプローチを許可します。

Turn right heading 220, cleared for ILS Y RWY19R Approach, ANA79.

ANA79, contact Chitose Tower 118.8.
ANA79、千歳タワーに118.8でコンタクトしてください。

Contact Chitose Tower 118.8, ANA79.
IAP上のFIXにレーダーベクターされてきた場合

ANA79, resume own navigation direct NACKS. You’re 6NM from NACKS. Maintain 3000 until NACKS, cleared for ILS Y RWY19R Approach.
ANA79、NACKSに直行してください。あなたはNACKSから6NMの位置にいます。NACKSまで3000ft以上を維持してください。ILS Y RWY19Rアプローチを許可します。

Direct NACKS, maintain 3000 until NACKS. Cleared for ILS Y RWY19R Approach, ANA79.

ANA79, contact Chitose Tower 118.8.
ANA79、千歳タワーに118.8でコンタクトしてください。

Contact Chitose Tower 118.8, ANA79.
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