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成田国際空港【出発編】

個別空港解説

この記事には一部筆者の独自研究及び推測が含まれます。

アジアの玄関口、成田国際空港。
様々な国の航空会社が就航している日本有数の巨大空港…。ですがランプコントロールがあったり、ゲートウェイがあったり(高輪ゲートウェイではないですよ)ローカルルールの量は日本一とも言えるでしょう。

現状、VATSIM上でリアル運用をする方は少ないですが、新しいシーナリーも開発中のため、この記事をきっかけにどんどん広まっていけばいいなと思っています。

このページでは出発の流れを解説します。

基本情報

滑走路

A滑走路(RWY16R/34L)
主に離陸に使用される。
有効長: 4000m

B滑走路(RWY16L/34R)
主に着陸に使用される。
有効長: 2500m

運用時間

成田空港は24時間空港ですが、24時から6時までの間は、緊急時またはやむを得ない場合を除き、離着陸が許可されません
ですが、VATSIM上では特殊なイベントが開催されていない限り、24時間離着陸することができます

「緊急時またはやむを得ない場合」とされるのは以下の場合のみです。

  • 航空機に緊急事態が発生したとき。
  • 乗務員または乗客に緊急事態が発生したとき。
  • 捜索救助活動を目的として運行する航空機。
  • 緊急のニュース収集活動を目的として運行している航空機。
  • 台風の避難などの理由により、離陸又は着陸が不可避であると考えられるとき。
  • 異常気象により緊急に給油する必要が生じたとき。

23時から24時の間はA滑走路(RWY16R/34L)のみが使用されます。
該当時間に飛行する航空機には騒音値などの制限が課せられていますが省略します。

注意点

Prepar3D、FSX向けの成田空港のシーナリーはいまのところWCI(Wing Creation Inc.)から発売されているもののみです。
発売が7年前ということもあり、現在の誘導路との相違点がありまくり、位置ずれのない誘導路のほうが少ないのが現状です。
(ひどいところではWCIの誘導路が今は駐機場として使われていたりもします。)

現在、複数社が成田空港のシーナリーを開発中のため、今後この問題は改善されるかと思いますが、X-Planeを使用している方やPrepar3D/FSXのデフォルトシーナリーを使用している方との位置ずれにご注意下さい。

交信例・解説

クリアランス

交信例(1)
JJP109
JJP109

Narita Delivery, JJP109.

RJAA_DEL
RJAA_DEL

JJP109, Narita Delivery, go ahead.

JJP109
JJP109

JJP109, request RWY16L. To New Chitose, FL370, SPOT 100A.

RJAA_DEL
RJAA_DEL

JJP109, Your departure RWY16L. Cleared to New Chitose Airport via TETRA8 departure KIMIN transition flight planned route. Maintain FL230. Squawk 2251.

JJP109, cleared to Chitose via RWY16L, TETRA8 departure KIMIN transition flight planned route. FL230. Squawk 2251.

RJAA_DEL
RJAA_DEL

JJP109, report when ready.

JJP109
JJP109

Wilco. JJP109.


滑走路の指定

成田空港では、 後述するランプコントロールがあるためか、デリバリーで滑走路を指定します
B滑走路(34R/16L)から出発したい場合はデリバリーに要求しましょう。

PILOT
PILOT

To New Chitose, FL380. Bay 100C. Request RWY16L.

RJAA_DEL
RJAA_DEL

Standby runway assignment.
出発滑走路の指定はお待ち下さい。

RJAA_DEL
RJAA_DEL

Your departure RWY16L.
あなたの出発滑走路は16Lです。

RJAA_DEL
RJAA_DEL

Unable RWY16L due to traffic. Your departure RWY16R.
滑走路16Lは混雑のため使用できません。あなたの出発滑走路は16Rです。

管制官からB滑走路を指定されたものの、B滑走路からの離陸が困難な場合、デリバリーに伝えましょう。

RJAA_DEL
RJAA_DEL

Your departure RWY16L. Cleared to…

PILOT
PILOT

Cleared to…. Unable RWY16L departure, due to performance.

「Unable」だけでは、管制官は詳細を把握することはできません。
パフォーマンス理由であれば、管制官にしっかり伝えましょう。

また、羽田空港とは違い、SPOTを通報するのは「Go ahead」をもらってからのケースがほとんどのようです。

暫定高度

成田空港や羽田空港など、一部の空港では暫定高度のみ通報します。
「Expect FL370」といわれなくても、巡航高度が書き換わったわけではありません。

また、成田空港では準備完了の通報をデリバリーで求められることがあります


交信例(2)
JJP109
JJP109

Narita Delivery, JJP109, ready.

RJAA_DEL
RJAA_DEL

JJP109, roger. Contact Ramp Control 121.75.

JJP109
JJP109

121.75, JJP109.

プッシュバック

交信例
JJP109
JJP109

Narita Ramp Control, JJP109. Request pushback. SPOT100A.

<span class="fz-14px"><span class="fz-12px">RJAA_R_GND</span></span>
RJAA_R_GND

JJP109, Narita Ramp Control. Pushback approved, face east.

JJP109
JJP109

Pushback, face east. JJP109.

ランプコントロールとは

日本では成田空港にしかない「ランプコントロール」があります。
これは国土交通省ではなく、成田国際空港株式会社(NAA)が運営しています。

レディオ・リモートとは違い、基本的には管制用語に沿った指示を発出することが多いようですが、そこは人それぞれです。

<span class="fz-12px">RJAA_R_GND</span>
RJAA_R_GND

Commence pushback, face east.

<span class="fz-12px">RJAA_R_GND</span>
RJAA_R_GND

Pushback, face east.

ジェットスター・ジャパンは成田空港でパワープッシュバックユニットという「後輪につけてステアリング操作はパイロットが行う」特殊な車を使用し、プッシュバックしています。

ジェットスタージャパン エアバスA320のプッシュバック(パワープッシュ)Jetstar Japan Airbus A320 pushback by SCHOPF Power Push Unit

社員さんによっては「Power pushback」として承認する方もいます。

<span class="fz-12px">RJAA_R_GND</span>
RJAA_R_GND

Power pushback approverd, face west.

プッシュバックの承認に方位の指定がなかった場合、TAXIING CHARTに従います。

eAIP Japan / TAXIING CHART (16L DEPARTURES)

このチャートはRJAA AD2.20 2.2~2.11で見ることができます。

上図は最新とは限りません。必ずeAIP Japan等で最新のものをご確認下さい。

地上走行(ランプ)

交信例
JJP109
JJP109

JJP109, taxi.

<span class="fz-12px">RJAA_R_GND</span>
RJAA_R_GND

JJP109, hold short of E3 Gateway, contact Ground 121.85.

JJP109
JJP109

E3 Gateway, contact Ground 121.85. JJP109.


GWY(Gateway)

ランプコントロールではGWY(ゲートウェイ)までのタクシー指示が発出されます。
GWYは成田ランプコントロール(NAA管轄)と成田グランド(国土交通省管轄)の境界線です。
絶対に管制官もしくはランプコントロールの許可なしにGWYを超えてはなりません。

また、タクシーの指示も社員さんごとに違います。

<span class="fz-12px">RJAA_R_GND</span>
RJAA_R_GND

Taxi to E3 Gateway.

<span class="fz-12px">RJAA_R_GND</span>
RJAA_R_GND

Commence taxi to E3 Gateway.

先程も記載しましたが、上記2つどちらであってもGWYを超えてはなりません。

あくまでも一例です。

経路の指定がなかった場合は、TAXIING CHARTに従ってタクシーする必要があります。

地上走行(グランド)

交信例
JJP109
JJP109

Narita Ground, JJP109. E3 Gateway, information N.

RJAA_GND
RJAA_GND

JJP109, Narita Ground. RWY16L. New QNH 3015 inches, information O, wind 170 at 10. Taxi to holding B1 via C, B.

JJP109
JJP109

JJP109, taxi 16L, via C, B to B1. New QNH 3015.

RJAA_GND
RJAA_GND

JJP109, contact Narita Tower 118.35.

JJP109
JJP109

118.35, JJP109.


イニシャルコンタクト

成田ランプコントロールは、ATISや気象情報を管理しないため、受領報告はグランドにします

VATSIM上ではこのとおりにならないことがほとんどです。
プッシュバックのときにも受領報告をしておいたほうがいいでしょう。

また、接近する(ランプに指示された)GWYを通報します。

さきほども記載しましたが、羽田空港のROUTE 5のようなものが成田空港にはたくさんあります。
管制官はとくに必要のない限り、地上走行はこのルートを指示します。

ROUTE 1 (to RWY16R)
K, S6, C, W, W6 and A

ROUTE 2 (to RWY34L)
C, S7, K and A

ROUTE 3 (to RWY16L)
A, K, S6, C and B

ROUTE 4 (to RWY34R)
A, S, C, S7 and K

これ以外にもルート番号が振られていないものがあります
詳細はRJAA AD2.20 2.2~2.11をご覧下さい。

離陸

交信例
JJP109
JJP109

Narita Tower, JJP109. Ready.

RJAA_TWR
RJAA_TWR

JJP109, Narita Tower. Wind 170 at 11, RWY16L, cleared for takeoff.

JJP109
JJP109

RWY16L, cleared for takeoff. JJP109


SPIDの運用

成田空港では日本で唯一、SPID(並行同時出発/SIMULTANEOUS PARALLEL INDEPENDENT DEPARTURES)を行っています。

SPIDの条件はRJAA AD2.22 (Ⅴ)に記載されている内容をざっくりと要約します。
実際に運用される際は、管制方式基準及びAIPを熟読することを強く推奨します

この項目では主に現実世界での運用について解説します。
VATSIM・VATJPN上ではこのとおりに運用されるとは限りません。

この項目はSPID運用時以外には適用されません。

航空機の条件

SPIDを実施する場合は、両機がRNAV1のSIDである必要があります。
特に上空で強い風が吹いている際に、滑走路34Rから離陸する場合、意図しない経路逸脱(FMSのROUTE DISCONTINUITYなど)を回避するために、適切な速度を設定する必要があります。

天候の条件

SPIDは、ウィンドシア・強い横風・雷雨などの悪天時は運用しません

航空機への通知

SPIDが有効な場合は、ATIS等を使用して、航空機に通知する必要があります
ATISが使用できない場合や、受領報告がなかった場合などは、管制官が航空機に通知します。

RJAA_TWR<br>RJAA_ATIS
RJAA_TWR
RJAA_ATIS

Simultaneous parallel departures (from runway [number] left and right are) in progress.

FMSの設定と用語

パイロットは、 設定したSIDの最初のウェイポイントまで、適切に繋がっていることを確認している必要があります


パイロットに、FMSを正しく設定しているか確認するよう促すため、必ず次の用語を使用します。

離陸許可発出以前に確認させる場合

RJAA_TWR
RJAA_TWR

VERIFY INITIAL WAYPOINT [initial fix].

離陸許可と同時に発出する場合

RJAA_TWR
RJAA_TWR

RNAV TO [initial fix], RUNWAY [number], CLEARED FOR TAKE OFF.

このどちらか片方のみ必要で、両方を通報する必要はありません。


管制官から確認があった場合、管制官から確認された最初のウェイポイントが正しく設定されていることを必ず確認し、応答しましょう

RJAA_TWR
RJAA_TWR

JJP109, verify initial waypoint BEAMS. Hold short of RWY16L.

JJP109
JJP109

Affirm, BEAMS. Hold short of RWY16L. JJP109.

もしくは

RJAA_TWR
RJAA_TWR

JJP109, RNAV to BEAMS. Wind 170 at 11, RWY16L, cleared for takeoff.

JJP109
JJP109

RNAV to BEAMS. RWY16L, cleared for takeoff. JJP109.

この用語はSPID運用時のみ使用します。
並行同時出発運用時以外は通報する必要はありません。


それぞれの滑走路からの最初のウェイポイントは次のようになっています。

滑走路 最初のウェイポイント DEP周波数
34L ARIES
ASTRA (for PEDLA1)
124.2MHz
34R BOXER 119.6MHz
16L BEAMS 119.6MHz
16R ASPEN 124.2MHz

FMSの最初のウェイポイントが上の表と一致しない場合は、管制官にすみやかに通報して下さい。
また、代替指示が発出されるまで離陸してはなりません

DEP周波数は上の表に関わらず、管制官の指示に従って下さい。

間隔の確保

出発機同士が接近し危険な状態にならないよう、同時平行出発用不可侵区域(DNTZ)が設定されています。
このDNTZに航空機が進入しないよう、管制塔にいる専任の管制官が監視しています。

管制官は以下の場合、回避させる指示を発出する必要があります

  • 目視で、隣接滑走路の出発機に接近すると判断した場合
  • 監視担当の管制官から、航空機が警戒判定区域(管制圏内のDNTZ)に侵入したとの通報があった場合
  • APP管制官が以下のいずれかの状況であると判断した場合
    • DNTZに侵入した
    • DNTZに侵入するおそれがある
    • 隣接滑走路からの出発機がDNTZに侵入した
    • 隣接滑走路からの出発機がDNTZに侵入することが確実である

VATJPN上に於いてはざっくりと「近づきそうならば」とでも覚えておきましょう。

回避させる指示は以下のとおりです。

RJAA_TWR
RJAA_TWR

TRAFFIC ALERT, 〔repeat aircraft identification〕, TURN LEFT/RIGHT IMMEDIATELY, HEADING〔number〕(,MAINTAIN〔altitude〕).

逸脱している航空機が指示に応答しない場合や、DNTZに侵入した場合は、隣接滑走路の出発機にも指示を発出します

正しい用語を使用するのももちろん大事ですが、回避をさせることが最優先です。

こんなの覚えてられっかという方は
・航空機が接近した場合はトラフィックアラートを出す
・トラフィックアラートに続いて、方位、高度の指示を出す
の2点だけでも覚えておきましょう。

大幅に省略して記載しています。
詳細は管制方式基準 (Ⅴ)-2で必ずご確認下さい。


管制官から回避するように指示があった場合、できるだけすみやかに指示に従う必要があります
指示はTWRもしくはDEP周波数で発出されます。

RJAA_TWR
RJAA_TWR

JAL959, traffic alert, JAL959, turn right immediately, heading 010, maintain 4,000.

JAL959
JAL959

Heading 010, maintain 4000. Traffic in sight. JAL959.


初期上昇

交信例(1)
RJAA_TWR
RJAA_TWR

JJP109, contact Tokyo Departure.

JJP109
JJP109

Contact Tokyo Departure. JJP109.

JJP109
JJP109

Tokyo Departure, JJP109. Leaving 1600 for FL230.

RJTT_DEP
RJTT_DEP

JJP109, Tokyo Departure, radar contact.

JJP109
JJP109

JJP109.


周波数の省略

ATISにDEPの周波数が記載されている場合は、周波数が省略されることがあります。
ATISは必ず隅から隅まで確認しましょう。

DEP周波数がわからない場合は、適当に表示されている周波数にコンタクトするのではなく、必ずTWR管制官に確認して下さい。

高度の通報

DEPでは通常どおり高度を通報します。
これは成田空港に限った話ではありませんが、指定された高度もしっかりと通報しましょう

滑走路34Lは離陸後7000FTの高度制限が設定されているSIDがほとんどです。
その上を東京の到着機が飛行するため、管制官から高度制限の解除の通報があるまで、絶対に高度制限を無効にしてはなりません
間違ってもオープンクライムやフライトレベルチェンジといった機能は使わないようにしましょう。


交信例(2)
RJTT_DEP
RJTT_DEP

JJP109, turn left heading 360, vector to RADIX, maintain FL230.

JJP109
JJP109

Left heading 360, climb to FL230. JJP109.

RJTT_DEP
RJTT_DEP

JJP109, resume on navigation direct RADIX. Climb via SID to FL230.

JJP109
JJP109

Direct RADIX. Climb via SID FL230. JJP109.

RJTT_DEP
RJTT_DEP

JJP109, contact Tokyo Control 124.1.

JJP109
JJP109

1241. JJP109.


ヘディング指示や直行指示の復唱

「Left heading」や「Right turn direct」など、旋回方位の指定がある場合は、それも復唱し、必ずそれに従いましょう
「Right turn direct」といったのにも関わらず「NDが左旋回のルートを出してきたので左に曲がりました」と言われたのは一度や二度ではありません。

とくに反対方向に曲がる可能性がある場合は、一度ヘディングで旋回してから直行しましょう。


これにて出発の流れは終了です。

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